その他の記事
306view

釣りバカ浜ちゃんの「毎日が釣り日和」4

釣りバカ浜ちゃんの「毎日が釣り日和」401

第4話 いい年になって「ヘラぼっくいに火が付いた」ことに関する一考察
        目のレンズ入れ替え手術
 2年前の7月のことである。高知市内にある眼科の専門病院で白内障の手術を受けた。両目の手術を一気にやれて時間の節約になる「3泊4日入院コース」である。
白内障は目の中でレンズの役割を果たしている水晶体が白く混濁する病気だ。加齢などが原因で起き、残念ながら元にはもどらない。視力の低下、視界がかすむ、光がまぶしい、夜の視野が狭くなるなどの主症状が出る。
 一般には日常生活に支障が出るギリギリまで古いレンズでがんばって、「いよいよ」となってから新品に切り替える手術をする例が多い(主治医のH先生談)そうだが、黒ちゃんの場合は60歳をすぎたあたりからとくに「釣り生活」に重大な支障が出ていた。
 たとえばチヌやスズキの夜釣りで電気ウキが見えない、アユの友釣りで小さな目印が見えない、フライ・フィッシングで16番以上の毛ばりが見えないなどなど。釣りがしたくて高知移住を敢行した定年釣り師・黒ちゃんにとって「釣り視力」の低下は「人生のQOL」に関わる重要影響事態(安保法制ではありません念のため)となっていたのである。
仁淀川の知られざる住人
さて。突然ですが質問です。仁淀川と聞いて釣り師が思い浮かべる魚の顔は何ですか? ふつうは中上流のアユ、上流のアマゴ(当地ではアメゴ)、本流のサツキマス(アマゴの降海型)、河口のヒラスズキあたりでしょうね。
昨今は「仁淀ブルー」と呼ばれる水質日本一の「奇跡の清流」として全国に知られるようになり、屋形船やカヌー、SAP(スタンドアップパドル。大型の専用ボードに立ち、パドルで操作する)などが楽しめ、いまや釣り師だけでなく一般観光客の間でも仁淀川は四万十川と並ぶ高知の清流ブランドになっている川であります。
しかし、「仁淀川勝手に応援団」かつ「アマノジャク釣り師」を標榜する黒ちゃんとしては釣り師や一般観光客の知らない仁淀川の住人のことを(本当は秘密にしておきたいんだけど)この際だから書いておきたいと思います。
それは仁淀川のワンド(本流とつながっているが河畔林などに囲まれて池のようになっている場所)を生活領域にするヘラブナ、つまり仁淀川生まれ、仁淀川育ちのネイティブ・ヘラブナ(野ベラとヘラ釣り師は尊称で呼ぶ)。
じつは高知の釣具店にヘラ用品の売り場はなく、プロショップもない。じゃあヘラ釣り師はいないかと言えば、いるんですね。友人の釣りバカ仲間によると県内で「10人ばぁはおる」らしい。ちなみに土佐弁の「ばぁはおる」は「くらいはいる」の意ですが、話半分としても20人くらいはいるでしょう。
高知県の総人口71万人余の中の20人である。まちがいなく絶滅危惧種といっていい。ま、その中に不肖ワタクシも入っているんですけどね(笑い)。
なぜか?へぼ釣り師にとってはライバルが少なければ少ないほど居心地がよろしいから。加えて仁淀川育ちのヘラブナの美しさに参っちゃったから。
        熟女と処女のちがい
黒ちゃんは中学生までは熱心なヘラ少年だった。東京の府中に住んでいたので近くを流れる多摩川や中央線沿線の釣り堀に足しげく通ったし、たまに横利根川、河口湖、宮沢湖あたりにも遠征した。父親が転勤で山口県岩国市勤務になったときは錦川の河口近くの砂利穴にも通った。その後、高校、大学時代は源流のイワナ釣りに夢中になり、就職してからは渓流のフライ・フィッシングに邁進したので長い間ヘラからは遠ざかっていた。
そういえば、まだ黒ちゃんがウブだったころ、釣り堀のスレッカラシのヘラに弄ばれた。ようやくハリ掛かりしても「どうせまた放すんでしょ。バカみたい」(美川憲一の口調で)というかんじで一応抵抗するふりをして上がってくる。そんな熟女と、仁淀川のまだハリを知らないバージン・ヘラとは名前こそ同じだが、まったくちがう魚だ。
ハリ掛かりした瞬間の根がかりかと間違うほどのズシンとした重量感。あわてて走りはじめたときのゼロヨン加速の凄まじさ。「ぬけさく丈1」の継ぎ目がギリギリと悲鳴をあげ、1.2号の道糸がキュンキュンと音を立てて水を切り、穂先が何度も水中に引き込まれる。「そうか、これが本当のヘラブナの引きだったのか」である。
ようやく玉網にすくった時の女体、じゃなかった魚体の美しさには息を呑む。鱗ひとつ欠けていない、口のまわりに傷ひとつない完璧なカラダ。キュッとくびれた腰からスラリ伸びた尾ビレの長いこと。この下半身あってこそのあの引き、まさに某女子体育大学の新体操選手のようである(なんのこっちゃ)。
というわけで、ほぼ50年ぶりに「ヘラぼっくいに火が付いちゃった」黒ちゃん。いまは奥さんに内緒で1尺きざみの「ぬけさく」をネットオークションでせり落としたりして東京に残してきた口の悪い釣り仲間から「あーあ、とうとうそこまで行ったか。黒笹ももうオシマイだね」と言われたりしている。
ヘラに始まった黒ちゃんの釣り人生、いよいよヘラで終わるのか。いやいやそんなことはないですよ。新しいレンズに入れ替えた目玉で、ヘラウキの極小目盛りだけでなく、夕まずめの毛ばりも、釣りに出かけるときの奥さんの顔色も(笑い)しっかり見えるようになった。齢68、黒ちゃんの釣り人生はまさにこれからなんであります。

(日本釣振興会広報誌「日釣振だより」2017年9月号 より加筆転載)
越知ぜよ!熱中塾教頭 黒笹慈幾

熱中時代 熱中小学校

この記事投稿者をフォローしたい!


Yasushi Kurosasa

0フォロー | 3フォロワー

都会のマタギ田舎のマタギ田舎と都会の生蜂蜜セット

数量限定!生蜂蜜セット

奥会津と横浜の2人のマタギが出会い、作った希少な日本ミツバチの蜂蜜セットです!

日本ミツバチの蜂蜜は、その土地の花の味をブレンドした「土地の味」とも言えます。田舎と都会の生蜂蜜セットは、「奥会津」の森の味と、「横浜」に咲く花の味を食べ比べることが出来る贅沢な商品です。

熱中通販では特別に50セットご用意いたしました。
ぜひこの機会に幻の蜂蜜をご体験ください!

この商品の詳細を見る

関連記事

関連記事をさらに見る